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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
「……透子」
その柔らかな身体。
どんなに強く抱き締めても、もっと、と思う。
「ごめん」
今まで、本当にごめん────。
何度も俺の呼び名を口にする彼女。
その涙が落ち着くまで、そうやって繰り返し、謝りながら伝え続けた。
俺をずっと諦めないでいてくれた彼女に、ようやく口にできた俺の心。
彼女でいっぱいだった、本当の心を。
胸の奥まで深く感じる彼女の匂い。
腕の中のそのぬくもり。
それこそが、幸せなのだと感じた。
俺が求めていたものはこれだったと、あらためて思う。
……そう。
眩暈がするほどの幸福感の中、もう俺は自分を誤魔化したりする必要など、ないのだと────。