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水蜜桃の願い
第5章  甘やかな願い


その後────。

バスルームを出た俺は缶ビールを手に、すでにシャワーを浴び終わっていた彼女が座るソファーに並んで腰かける。
テーブルに置いたままのジンジャーエール。
黙って俺を見つめたままの彼女に飲み終わってしまったのかを尋ねると、はっとしたように首を振りながら手に取った。
俺に合わせるかのように、こくりと口にする。

不意に、そっちで持って、と願われた。
深く考えずに従うと、空いた右手に指先を絡めるようにしながら握ってくる。
さらに身体を近づけられた右側にじわりと感じる重み。
そのまま寄りかかるように、頭も、右肩へとのせてくる。


……可愛い。


自然に緩む口もと。
素直に甘えられること──それを拒まず受け入れることがこんなにも心地いい。


「……先生、聞いてもいい?」


その体勢のまま、口を開いた彼女の言葉。


「先生って、もしかして私が初カノだったりするの?」


思ってもいなかったその問いに驚いた俺は少しだけ咳き込んでしまった。
心配しながらも、図星? と楽しそうに下から見上げてきたその表情に思わず苦笑いで答える。

そんなこと聞いてどうするの、と尋ねると


「……ん? 知りたいなと思って」


純粋な好奇心、とでもいったような様子で、そう答えてくる。


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