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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
そんなふうに過去に思いを馳せていた俺は、話が終わっても彼女がしばらく黙ったままなことに気づき、透子? と名前を呼び顔を覗き込んだ。
けれど彼女は視線を合わせてはくれず、口を開こうともしない。
「……俺、何かまずいこと言った?」
やはり口にすべきではなかったのだろうかとそう尋ねると、それにはすぐに首を振った。
「……もしかしたら私もそういうことしちゃうかもしれないよ?」
そして、ぽつりとこぼしてきた言葉────。
え? と聞き返す。
ようやく彼女は俺と目を合わせた。
「先生が面倒だって思ったようなこと」
そして、そう続ける。
また逸らされた目。
「私、先生と連絡取りたかったとき、LINEも電話もしつこくしたから」
「────……!」
違う──この子をそうさせたのは俺のせいで……!
否定しようと口を開いた俺の声は、さらに続いた彼女の言葉に止められた。