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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
「……じゃあ先生、ちゃんと言ってね?」
囁くような呟きが、耳に届く。
ん? とその意味を尋ねた。
「先生に、面倒だって思われたくないもん。
だから、私のこといやになる前にちゃんと言って?
私、気をつけるようにするから────」
続けられた内容に、思わず途中で彼女の名前を呼んだ。
止まった言葉。
間髪入れずに、それは俺のセリフだと彼女の考えを訂正する。
身体を少しだけ離し、その揺らいでいる瞳を見た。
え……? と唇がかたちを作り、見つめ返してくる彼女に答える。
「俺だって、透子にそういうことするかもしれない」
「……先生が?」
戸惑っているかのような表情の彼女の頭を撫でた。
そうだよ、と呟きながら。
「俺だってもうわかるよ、そういう気持ち。
……ちゃんとわかってると思う」
「先生……」
「好きだから不安になるとか、嫉妬とか、束縛とか……なんか、やっとわかったから。
透子を好きになって、ようやく」