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水蜜桃の願い
第5章  甘やかな願い


「……っ、は……とう、こっ……」


途切れ途切れに呼び返した名前は、この子の耳に届いただろうか。
ぐったりと目を閉じているその顔を、手のひらで撫でた。
汗に濡れた髪を避けさせ、行為のあとの艶かしさが残る顔を見つめる。


……愛しい。


何度撫でても足りなくて、頬に……すべてに、口づけた。
反応のない唇にも幾度となく重ねる、唇。


……本当に、愛しくてたまらない。


ぎゅっ、と抱き締めた身体は華奢で。
こんな小さな身体すべてで俺を愛し、受け止め、導いてくれたことを思うと胸が熱くなる。


「……好きだよ、透子────」


どうして今までそれを言葉にせずにいられたのだろう。
どうして伝えずにいられたのだろう。


……ふ、と。
背中に腕が回された感覚。


「……私も、すき……」


耳に届いた彼女の想いに、どうしようもなく泣きたくなった。
堪えながら、顔を隠すように、さらに強く抱き締める。


しばらく、そうしていた。
そのままずっと、そうしていた。


……もう絶対に離さない。


そう、思いながら────。






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