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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
唇が勝手に、好きだと想いを呟いていた。
直後、ん……と小さな声をあげた透子は身を捩るように俺の身体にさらにくっついてきて、癖なのか──また、猫のように頭をすり寄せる。
口元が緩むように、微かな笑みを作った。
そのまま、先生……と言葉を紡ぐも、その瞳が開かれる気配はない。
その様子をずっと見ていた俺の耳に、やがてまた届き始めた寝息。
「……ったく」
可愛すぎるんだって……と、苦笑しながらも感じていたのは、愛してやまない彼女が自分をこんなにも求めてくれる──これ以上の幸せがどこにあるというのだろうという思い。
「……子供みたいだな」
感情をダイレクトに訴えてくる瞳が閉じられているその寝顔に感じるあどけなさ。
どこか少女のようにも見える、彼女。
──大事にしたい。
沸き上がる想いに、また、指先が動いた。
ぷっくりとした、艶やかに赤らんでいる唇に、そっと触れる。ラインをなぞる。
けれどいつしかそれだけでは我慢できずに、力をいれ軽く押していた。
押し返されるその感覚が、なぜだろう──俺の芯を、揺さぶる。