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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
知らぬ間に、息を止めていた。
苦しさに深く吐いた息に、それを気づかされた。
心の中で何度も呼んだ名前。
「透子」
言葉にして、呟く。
無防備なあたたかさから指を離すと同時に、今度は唇をそこに落とす。
……ああ、と息が漏れた。
重ねても重ねても、満足できない。
もっと欲しくて。
もっと感じたくて。
舌先で開かせた隙間から、そのままぬるりと忍ばせる。
すぐに、彼女の舌を見つけた。
そっと、絡ませていく。
……ん、と彼女が顔を少し捩った。
そうさせまいと両手で頬を包み、さらに。
微かな鳴き声と共に、その舌先がおずおずと俺に応え始める。
彼女のペースに合わせるようなゆっくりとした交わりは、けれども深く。
んん、と甘く鼻を鳴らしながら、次第にしっかりと俺の舌を受け止めていく彼女の瞳がうっすらと開かれる。
目が合い、そっと離した唇。
見つめられたままで、先生……と呟かれ、俺は目で、なに? と答えた。
もっと……、と吐息と共に吐き出された願いはどこか舌ったらずで。
まだ、眠りをひきずったままなのかと苦笑しながら、それを叶えた。