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第5章 　甘やかな願い

「ん……」


唇を──舌を受け止め、応える彼女の両腕が俺の首の後ろに回された。
俺を求めてくれるその想いを、彼女はいつも仕草でも、言葉でも伝えてきてくれる。


……蕩ける。


合わせた唇と、絡ませた舌先。
愛しい彼女とのキスはこんなにも自分を昂らせ、想いを高まらせていく。

きもちいい……と、角度を変えながら続けるキスの合間の彼女の呟き。
うっとりと、夢見るような。

俺も──そう囁き返すと、笑みを浮かべたまま唇を重ねてくる。


……ああもう、本当に蕩けてしまう。


ゆっくりとしたそれだからよけいに思うのか──まるで、気持ちよさに頭の芯がじわじわと侵されていくかのような感覚だった。


そうやって唇でしばらく愛し合い、そっと離した直後──襲われた喪失感。
あんなにしたのにまだ足りないのか、とそんな自分に苦笑しながら彼女を抱き締めた。
きつく。とても強く。


「ん……せんせ、苦し……っ」


当然の訴えに、ん、と言葉だけを返す。
そしてさらに、強く。
なぜかそうせずにいられなかった。
先生──と、また口にされた呼び名に


「──……我慢して」


深く息を吐きながら、願う。