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水蜜桃の願い
第1章  先生と彼女


ふられた。
完全に。


受け入れなければならないその事実を思えば、もうただ、泣くことしかできない。

泣きながら思い出した、先生のあの表情。

最後の最後に、先生に軽蔑されてしまったかな……そう感じてしまった、先生のあの態度を、表情を思い出し、ひく、としゃくりあげながらも。
それでもきっとあれは私の本音だった、と思う。
そう……あんな言い方しかできなかったけど。

否定されてはじめて、ばかなことを口にしたと思った。
受け入れられたらそれはそれで自分の言葉を後悔するかもしれないと思った。
それでも……何も意図せず口から出てきたその言葉は、きっと私の本心でもあった。

……相手にも、されなかったけど。


はは……と、自嘲気味な笑みが漏れる。


だって、まさか先生の方が……だなんて思ってもいなかったから。
彼女の方が、先生を好きで。
その想いを先生が受け入れたんだとばかり―――。

だから、それを知り。
落ち着きかけていた私の感情はまた急に乱れてしまって、つい、あんな、先生を挑発するような言い方を。
……あらためて思い出せば、先生が不愉快になるのも当たり前な話で。


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