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水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
……恋愛って、残酷だ。
想いが叶う人と、叶わない人がいて。
先生の想いは叶い。
きっと……彼女の想いも叶った。
そして私の想いは、叶わない――――。
言葉にすればそれだけのことなのに。
言葉なんかではとても現せない感情が、そこにはぐるぐると渦巻いていて。
お幸せに、なんて思えない。
口から漏れた、しゃくりあげるような、震えた溜め息。
先生が好きだった人。
先生の心をずっと掴んでいたのであろうその人が、やっぱり羨ましい。
あの先生に、他の子には興味がないとまで言わせる、その人が。
どうしようもなく、羨ましい――――。
……そんなことを考えながら、バッグから取り出したスマホ。
私の想いを知る、親友にコールする。
すぐに、繋がった。
『美波? 大丈夫だった!?』
そして真っ先にかけられた言葉。
きっと心配してくれていたんだろう――舞子の優しさに嬉しくなり、そして少し切なくもなった。
「……舞子」
たったそのひとことに、私の感情を読み取ったのか――何かあったの? と間髪置かずに聞き返される。
「……告っちゃった」
『え!?』
「思いっきりふられたけど……」