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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
斜め前のテーブルに座るカップルらしき男女が目に入る。
彼氏に向かって話をするその女性がとても幸せそうに笑っていて、私も先生といるときってこんなふうに見えてるのかな、なんて思えば。
……早く会いたいな。
またそんな気持ちになってしまい、落ち着かない心を誤魔化すように、カップの代わりに再び手にした本。
適当なページを開いて読む振りをしながら、頭の中でまた先生のことを考える。
家に帰る前にどこかで軽く飲もうか、と先生には誘われていた。
だから、先生の車は職場に置いたまま、ふたりで電車で帰ることになるんだろう。
運転する先生の姿が見られるから、助手席に座るのも好きだけど──一緒に道を歩くのも私は好きだった。
……だって、手、繋げるし。
ふふ、とまた笑ってしまう顔を、慌てて本で隠す。
先生の大きな手。
すっとしたきれいな指が、私の指を絡めとるようにしてくれる。
触れ合う場所から広がっていく熱と、欲。
私の心と身体はもう、それだけでとろける準備を始めてしまうほどに。
────っ……。
はしたない想像がどんどんエスカレートしていきそうな自分に慌てながら、だめ、と自制しようとした──そのときだった。