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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
やっぱり、忍先生のことなの?──そう思い、さっきの言葉を再び頭の中で繰り返す。
先生の彼女がショートボブだからそういう髪型の人が目に入る、ということは。
……先生のこと、好き、だから?
うそ、と心の中のざわめきが激しくなる。
「でも、もうちゃんと整理ついた?
先生に会っても大丈夫?」
「平気だって。
……大丈夫。ちゃんと諦めました」
「ほんとかな~」
「ほんとだって!」
そして、笑い声のあと。
「……うん、でも無理しちゃだめだからね。
何かあったら電話してよ。そのときはまた話聞いてあげるから」
ありがとう~、と言葉がそれに返された直後、がたんと音がした。
席を立つその気配。
どくんどくんという心臓の音が、おさまらない。
おさまらないまま──振り返りたい衝動に負けた私は、後ろにある店への出入り口を見る振りをした。
レジに並ぶ、ふたりの女性の後ろ姿。
ひとりは茶髪のロングヘア。きれいなストレートだった。
もうひとりは肩下ぐらいの長さをゆるくふわふわに巻いている。
ふたりともスタイルがよくて、雰囲気がきれい、だった。