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水蜜桃の願い
第2章  先生と生徒


思い出すのは10年前の自分。

先生の、優しいその教え方。
見せてくれた、爽やかな笑顔。
どんどんと、先生に惹かれていったあの頃を。

そう……私と同じように先生に惹かれる人がいても、おかしくないんだと────。


……ざわざわする。
心が、ざわざわと嫌な感じに揺れている。


『ちゃんと諦めました』


あの人の言葉が頭から離れない。


先生と何があったの────?


もう、私の頭の中では、あの人の想う先生は忍先生のことに間違いないような気がしてならなくて。
だからそんなことまで勝手に考えてしまって。
考えたことに、さらに不安になっていく。


何で私のことを知ってるの────?


でも、隣のテーブルの私には気づいてないみたいだった。
だったらやっぱり『先生』は違う人?
それとも、わざと私に会話を聞かせてた?


……やだ。


いやな考えばかりが浮かぶ。
先生とあの人の関係を勝手に想像してしまう頭。


ううん。

先生の言葉はちゃんと信じてる。
私を好きだと──好きになったのは私だけと言ってくれた先生の想いは本当だと信じてる。
この3週間、先生の態度に何も疑うようなことはなかった。



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