この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
ちゃんと信じてる。
ネガティブな考えを振りきるようにそう強く、思う。
そうして、呼吸が無意識に浅くなっているのに気づいた私は、この苦しさはそのせいなのかと、深く息を吸い、吐いた。
……信じてるもん。
あの人は先生を好きかもしれないけど、先生は私を好きだと言ってくれてる。
私はちゃんと先生に愛されてる────。
テーブルの上のスマホを手にした。
今までのラインのやりとりを開く。
そこには先生の言葉が並んでいる。
好き、とかそういうのはなくても、ただいま、とか、待ってる、とか……そういう言葉からだってちゃんと先生の想いは伝わってくる。
……さっきだって。
終わったらすぐ向かうよ、って。
なのに、それでも消えない不安はなぜなのか──ふっ、と浮かんだその考えに、スマホをぎゅっと握る。
……もし、10年前の私みたいなこと、する人がいたら?
そしたら先生は、あのときみたいにそれに応える?
そんなわけない、すぐにそうそれを打ち消す。
でも──それでも、もし捨て身になってまで先生に迫る人がいたら?
彼女がいてもいいから一度だけ、そう言ってくる人がいたら?
自分がそんなふうに先生に迫り、結果受け入れてもらったというのは事実だ。
だからこその、不安だった。
その不安はたちまち私を飲み込む。