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水蜜桃の願い
第2章  先生と生徒


……いや。
先生が、私以外の誰かを特別な目で見るなんて。
私以外の誰かにふれるなんて。
そんなの考えたくもない────。


あのときの自分は、先生に彼女がいると思い込んでいた。
それでも、と願った先生との関係。
彼女の気持ちなんて考えもしなかった。
自分の欲ばかりだった。
今、その立場になってはじめて、それがどれだけひどいことだったのか気づく。
あのとき先生に彼女はいなかったことは後になって知ったけれど。
傷つく人がいなかったことは知ったけれど。
それでも、私のした行為は────。


……この不安は、あのときの自分がしたことが返ってきた、そういうことだろうか。


泣きたくなるような気持ちを堪え、私は静かに先生にメッセージを打ち始めた。


『今日はまっすぐ先生の家に行きたいです』


送信し、あとはただ、時間が過ぎるのを待った。

先生とあの人が楽しくレッスンしている光景が頭に浮かぶたび、必死で振り払う。


なんだか時間が過ぎるのが長くて。
……とても、長くて。


先生とのラインのやりとりを読み返しながら。
先生との会話を……そのぬくもりを思い出しながら、大丈夫──そう自分に何度も言い聞かせ、先生から連絡が来るのを待った。





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