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水蜜桃の願い
第1章  先生と彼女


私は、先生から目が離せないまま、隣で、雑貨屋のアクセサリーを物色している舞子の腕を掴んだ。


「んー?」


彼女の気だるそうな返事に、いる、と鋭く囁く。


「いる?」


繰り返された言葉に


「だから、いるんだって!」


私もまた、その言葉を口にする。
もう、何? と彼女が顔をこちらに向けた気配に


「前に話した、例の英会話教室の講師の先生!
……そこにいるの!」


小声でまくしたてるように告げた。


「ああ……って――――え!?」


気のなさそうな返事の色が、途端に変わる。
私の腕を同じように掴んできて


「どこ!」


囁くように聞いてくる。


「あそこの本屋! 雑誌めくってる背の高い人!」

「……ああ!」


すぐに気づいた舞子が、うわあマジでイケメンじゃん、と呟く。


「でしょ!?」


いつものスーツ姿じゃない、カジュアルな私服姿の先生。
やばい、かっこいい、そんなふうに呟く私の背中を舞子が突然押した。


「何やってんの美波!
早く声かけてきなよ!」

「え!?」

「これってチャンスじゃん!」


チャンス――――?


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