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水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
「ひとりのふりして声かけて、そのままお茶とか誘ってみたら!?」
「ええっ!?」
考えてもいなかったことを提案され、頭が一瞬パニックになった。
誘う? 今から先生を?
「こんな機会めったにないよ!?」
「……う、うん……」
戸惑いながらも、でも確かに舞子の言うとおりかもしれないという気にもなってくる。
……そうだよ、先生に挨拶ぐらい当たり前じゃん。
偶然ですね、って声かけて。
もしよかったら、ってこのあとをちょっと誘うぐらい、おかしなことじゃないはず。
「え、どうしよう。
……だよね、これ、行った方がいいよね!?」
舞子にしつこいぐらいに確認し、頷く彼女に、先生に背を向けた形で身なりのチェックをしてもらう。
「髪とか変じゃない!?
化粧崩れてないよね!?」
舞子は私のサイドの髪を、指先で少し梳くようにしながら「ん、大丈夫、可愛いよ!」と言ってくれた。
一度目を閉じて胸元に手をあて、大きく深呼吸をする。
――よし。
自分の中の勇気にそんなふうに声をかけ、先生がいる方を振り向いた――そのときだった。