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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
先生の家に着き、促され、中へ入る。
すでに何回か来て、泊まってもいるこの場所。
「待ってて」
先生はそう言い残し、奥の部屋へと一度消え、すぐにジャケットとネクタイを外した姿で戻ってきた。
シャツの袖をまくりながらキッチンスペースへと入り、私に背を向ける形で冷蔵庫を開けた。
「ん」
振り向きざまに差し出された缶。
近寄って受け取る。
私の好きな、アルコール度数の少ないチューハイだった。
「……ありがと」
うん、と軽く返事をする先生。
自分のものだろう、缶ビールも取り出して一度キッチン台に置く。
「飲みながら何か適当に作ろうか」
そう言って再び私に背を向け、冷蔵庫の中を探る先生。
一人暮らし歴が長い先生は料理も上手だ。
私はいつも、先生が作るのを手伝ったり、時には作り方も教えてもらったりしていた。
それはとても楽しい時間。
……けれど。
私は缶を台に置いた。
コトン、と微かな音がした。
けれど、今は────。