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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「透子」
頭の上から降ってくる、その声。
「隠せてると思ってんの?」
その言葉に、先生の胸元にあった自分の両手を思わずきゅっと握る。
「……俺、何かした?」
私はまた首を振る。
それでも先生は続けた。
「俺の言動で傷ついたなら教えてって……前に言ったよね?」
「違────」
顔を離し、首を振りながら先生を見上げた。
私を見下ろすようにしていた先生と、目が合う。
その困ったような表情に、自分の感情をあらためて恥じた。
……こんな気持ち、先生に知られたら面倒な子って思われる。
先生は、生徒に教えるのが仕事なのに。
その生徒との仲を疑ってしまってる自分────。
咄嗟にまた俯こうとすると、伸ばされてきた先生の両手に頬を包まれ、くい、とそのまま上向かせられる。
「じゃあ俺が関係してる?
それともしてない?」
すぐに答えられなかったことが、答えになってしまった。
「だったら言って」
俺に関係することならなおさら話して──そう続けられ、思わず私の喉がごくんと鳴る。