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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
だって、聞きたい。
本当は聞きたい。
そして否定されたい。
安心したい。
そして聞いた私のことも、面倒だなんて思わないでほしい────。
わがままな願いばかりだ。
でも、それは私の本心。
ごまかせない……気持ち。
自分の頬から先生の手を離した。
少しだけ俯き、先生から目を逸らす。
「……みなみさんって人、先生知ってる?」
その名前を口にした瞬間、ぴくりと。
掴んだままの先生の手が反応した。
──知ってるんだ。
それだけで、もうわかった。
「……何で」
先生の呟きも、それを肯定してる。
「何で透子が彼女を知ってんの」
……ほら、やっぱり。
やっぱり先生の生徒だった、先生のことが好きなあの人。
ゆるふわの髪を揺らし、可愛い表情で先生に笑いかけてるんだろう。
それに先生はどんなふうに返してるんだろう。
『諦めました』
あの人はそう言ってた。
その言葉はどういう意味だったのか──私には何もわからない。
先生と何かあったのか。
それとも何もないのか。
わからないのに、こんなにも胸がざわめいていた。
それとも、わからないからこそ?