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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「透子────」
顔をあげれば、困惑したような表情で私を見ている先生と目が合う。
先生を取られたくない──そんな思いに心が支配された私は先生に抱きついた。
や、と思わず漏れた声と同時に、しがみつく腕に勝手に力がこもる。
「……もしかして、会った?」
先生が呟き。
「何か言われたの?」
続けられたその言葉に首を振る。
「じゃあどういうこと?」
掴まれた両腕。
ぐい、と先生から引き離すようにされる。
覗きこまれた顔。
先生の目が、私をまっすぐに見つめてる。
私はその目を逸らせなかった。
だって、それはすごく真剣な目で。
私はその目に射ぬかれたようになり、身体のどこも動かせないまま、唇だけをかろうじて震わせる。
「……聞いたの」
「え?」
目が、さらにその先を問うてくる。
「だから……みなみさんって人が友達と話してるの聞いたの」
早口になってしまったけど、先生には伝わったようだった。
「何を」
「……何を、って────」
「俺のこと?」
口に出され、小さく頷く。