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水蜜桃の願い
第2章  先生と生徒


「透子はもしかして、俺とその生徒が何かあるとか……どうにかなるかもとか、そういう心配してた?」


咄嗟にふるふると首を振る。
そんな言葉を先生が口にすること自体、耐えられないと感じた自分に驚きながら。


「ほんとに?」


私は首を振り続けていたけれど、先生が


「ほんとに思ってない?」


って……そんなふうに聞いてくるから。
繰り返して聞いてくるから。
だから私はどう答えたらいいのかわからなくなってしまった。


「透子」


先生の手が、私の頬にふれる。
そのまま上げさせられた顔。
けれど目は落ち着きなく揺れてしまう。


「こっち見て」


とうとう先生にそう促され、ごくりと喉を鳴らしながら従う。
はあ……と微かに無意識の息が漏れた。
私を見つめている、躊躇いなど何もないその視線。
あまりにも、真っ直ぐだった。


「もう一度言うから、ちゃんと聞いて」


真剣な声。
私は気圧されたように小さく頷く。


「確かに告白はされたけど、ちゃんと断った。
俺には付き合ってる子がいるから、気持ちには応えられないって」


優しく撫でられる頬。



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