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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「だから透子が不安に思うことなんて何もない────」
「でもその人は納得したの?」
思わず挟んだ口。
え? と聞き返してくる先生にもう一度尋ねた。
「それで納得してくれたの?」
私が聞いた『諦めました』
でもその言葉のあとに先生に告白しているということが、その人の先生への気持ちの強さを容易に想像させる。
そんな人が、すでに知っている私の存在を理由に断られたとして、おとなしく納得なんてできるんだろうか────。
そう思ったときだった。
「……彼女がいても構わないと言われたけど」
そんな私の懸念通りと言ってもいいような言葉を返される。
考えていたことではあったけれども、それが事実だったことに、え……と思わず声が漏れた。
「二番目でもいいって」
聞き終わらないうちから、先生を見つめたまま首を振る。
こみあげてくる衝動のままに、先生の両腕を掴む。
そんなの何でもないことのように振る舞いたかったはずなのに。
面倒な彼女にはなるまいと思っていたはずなのに。
……先生の発したたった一言に、一瞬にしてそんな決意が崩れ去る。