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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「や……私そんなのやだから……っ!」
だって、私がいても構わないって何それ。
二番目でも、って──そんなの、私がいや。先生を誰かと共有するなんて、絶対いや。
私以外の人にふれてなんて欲しくない。
「透子」
私を宥めようとするような先生の言葉は聞こえたけど、また私は首を振る。
だって……だって、なにそれ。なんなの。
彼女に対する負の感情。
なのに同時に沸き上がってくるのは、あのときの自分の気持ち。
頭に浮かんだ、捨て身になって先生に迫っている彼女の姿──それは10年前の私だった。
今もまざまざと思い出せる。
一度だけ──そう願った私と、二番目でも──そう願う彼女に何の違いがあるというのだろう。
彼女を否定したら、あのときの自分まで否定することになる? あんなに必死に先生を求めた自分のことを?
彼女を思いっきり責めたいのに。
彼女がいてもいいなんて何それ、って声を荒げたいのに。
彼女がいてもいいからと先生に迫ったあのときの自分が私を反対に責めていた。
そんなこと言う権利、私にあるの? って。
自分を棚上げするようなそんなこと、私が言える立場なの? って。