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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「────っ」
圧し殺した呻きだけが唇から漏れた。
……やだもう。
なんかもう泣きたい────。
頭と心がそんなふうに騒いでいた。
大丈夫だから──そう口にする先生に対しても、何が大丈夫なのか言い返したくなる。
だって私のこの気持ちなんて先生にはわからない────。
口元を両手で覆い、ただ首を振る。
「透子、ほんとに大丈夫だって」
そんな私を覗き込むようにしてくる先生。
「ちゃんと断ったから」
「……っ、でも……」
「彼女もあとは退いてくれたし、心配しなくてもいいから」
そして、私の腕を取る。
そのまま引き寄せられた私の身体は先生に抱き締められた。
たまらず、その背中に両腕を回せば
「……俺が好きなのは透子」
耳元でそう、囁かれた。
ぎゅっ、と心臓が苦しくなる。
「透子だけ」
だから心配しないで──そう続けてくれる先生。
撫でられる頭。その手つきはとても優しい。