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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
嬉しい。
先生の言葉は素直に嬉しい。
大好きな人からそんなふうに言ってもらえるなんて──胸がぎゅうっと締め付けられるようになる。
「……っ、でも……」
──そう、でも。
「ん?」
先生が、何? とその体勢のままで呟く。
「言いたいことあるならちゃんと言って、透子」
私の心の中を察しているかのような言葉。
肩を掴まれ、そのままそっと身体が離される。
至近距離で見つめてくる先生の形のいい唇が、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「……約束したよね。
透子のこと、あんまり困らせないようにする、なるべく泣かせないようにするって。
だから、俺のせいでそんなふうに不安そうな顔してるなら……ちゃんとそれ、教えて?」
先生……、とその呼び名を口にすれば
「透子は態度にすぐ出るからわかりやすい。隠そうとしても無理だよ。
……まあ、だから俺でも気づけて、助かる、ってことでもあるけど」
ふ、とその口元を少し歪ませる先生。
笑っているのか、そうでないのか、曖昧で。
私は思わずその唇にふれていた。
先生の言葉を頭の中で繰り返しながら、指先でそっとなぞる。