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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
だから先生でも気づける?
……ううん。先生だから気づいてくれるんだよ、きっと────。
なぜだろう、そんなふうに思う。
その気持ちのままに、違う……と私は口を開いていた。
「先生のせいとかじゃない……」
え? と、その意味を目で問いかけてくるようにしてきた先生に、繰り返す。
「先生が悪いんじゃない……勝手に、私が」
そう、私が不安になっただけ。
その不安の原因は私自身にある。
先生は、その人の告白を断ってくれた。
嬉しい。それは間違いなく。
好きなのは私だけ──そんなふうに言ってくれる先生の気持ちが、泣きたくなるほどに。
──でも。
「それに俺は関係してないの?」
突然、そう問いかけられる。
ふれていた唇が動き、はっと息を飲んだ拍子に指先が離れた。
「全く?」
宙に浮いてしまったその指が、掴まれる。
再び、先生の手によって唇へと戻されて。
「本当に?」
その感触。
言葉と共に伝わる、柔らかさ。
私の感情を読もうとするかのような真っ直ぐな視線は変わらず私に注がれたまま。
そう……それは私のすべてを見透かすような。