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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
とうとう口にした私は苦しさを逃すように、はあっと深く息を吐く。
透子……と先生が呟いた。
その瞳が微かに揺れていて、たまらず目を逸らす。
掴まれていた指先が離されて、さらに心もとなくなる。
「……っ、あ……あのときみたいに、先生はそれを受け入れたりするの……?」
私にそうしたみたいに、他の人にも────。
「……何言ってんの」
不意に落とされた、低い声。
どくん……と心臓が跳ねた。
「本気で言ってんの? それ」
……怒っているようなそんな口調に、動悸がさらに激しくなっていく。
「透子」
掴まれた両腕。
強いその力に思わず顔をしかめる。
先生、怒ってる────。
なぜ先生が怒ったのか考えるよりも先に、怒らせてしまった事実に焦り、ごめんなさい、と謝った。
私の言葉が原因なのは確かなのだろうから。
「ごめんね先生……っ、私、なんか……」
焦りながら必死で口にする。
「なんか面倒くさいことばっかり言ってるよね───っ、ん……!」
引き寄せられた腕。
唇にぶつけられた何か。
それは噛みつかれるような、そんな突然の口づけだった。