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水蜜桃の願い
第2章  先生と生徒


だって。


「……だって先生は私の────」


抱き締められた身体。
言葉が途切れる。
さらにきつく私の身体に絡めるようにしてくる先生の腕。


「……っ」


息ができないぐらいの苦しさの中


「するわけないだろ」


耳元で呟かれた、吐き捨てるようにも聞こえるその言葉。


「俺には透子がいるのに。
……透子以外興味ないのに」


何ばかなこと言ってんの──やっぱり怒っているような口調で、そう続けられる。


じわり、とにじんでくる視界。


「……だって」


う……とそのまま、声に涙が混じる。


「……だってあのとき……先生、私にだって興味なんかなかったはずでしょ……?」


なのに。
私を受け入れてくれたのは。


「先生……優しいから、だから心配なんだもん……」


ひく、としゃくりあげた私の背中を優しく撫でてくれている先生の手。
それに促されるように私は続けた。


「優しいから……捨て身で来られたら……私みたいな迫り方されたら────」

「俺には今、透子がいるだろ。
誰もいなかったあのときとは状況が違う」

「……っ、でも」


ぐい、と離された身体。
私を見つめる先生。


「でもも何もない。
もしそんなことになったって、俺は手を出したりしない」



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