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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「……どんなに必死に迫られても……?」
「俺にその気がない以上、どう来られても一緒だって」
先生の長く綺麗な指が私の顔に伸ばされてきて、咄嗟に閉じた目。
その拍子にこぼれた涙。
頬から、すっと撫で上げられるようにされ、そのままその指は目元を辿っていく。
「信じて」
ぽつり、と呟かれた言葉。
目を開けようとして、瞼をそっと撫でる指に阻まれる。
「……自分が今までしてきたことを考えたら、そうやって不安になるのもわかるけど」
首を振って答えたいのに。
「本当に、透子とちゃんと付き合っていきたいって思ってるから。
それを自分から壊すような真似、しない」
先生の優しい指先に、動くことを封じられているような感覚に囚われながら、唯一動かせた唇で、うん──そう答えた。
「……わかった」
先生は、ちゃんと言ってくれた。
言葉にしてくれた。
あのときと同じような状況になっても、それを受け入れたりしないって。
だから私も、もう────。
「信じるから……」
──そう。これ以上は。
私の不安が、先生をも苦しくさせている。
私が揺れれば、先生はまた、自分をこんなふうに責めてしまう。
そんなのは、だめって──強く、そう思った。
「……ごめんなさい……」
だから私は口にした。
いろんな意味を込めた、その言葉を。