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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
すん、と鼻を鳴らし、息を深く吐いた。
まだ完全に落ち着いてはいない感情が声を震わせたけど、そのまま言葉を続ける。
「……先生のまわりには綺麗な女の人たくさんいるんだろうな、って……そういうの今日、あらためて気づいちゃったら……なんだかどんどん不安になってきて……」
「透子以外に興味ないって」
……わかってる。
こくん、と頷きながら思い出していた。
想いが通じてからの先生の言葉はいつもまっすぐだった。嘘なんてなかったと。
ただ、私は私に自信がないんだろう。
だから、何もないときはいいけど。何か気になることがあると、こんなに簡単に心を乱してしまう────。
思わず下唇を噛めば、先生が深く息を吐く気配がして。
「……言葉でしか表せないのが歯痒いな」
呟きが聞こえ、目蓋から離れた指先。
そっと目を開ければそこには、切なそうに私を見る先生がいる。
「どうすれば、伝わる?」
……先生が悪いんじゃないのに、発せられる言葉はどこまでも私に寄り添ってくれている。
「どうすれば透子の不安はなくなるの」
切なそうな目で見つめられ、また私は苦しくなる。
落ち着きつつある感情がまたぶり返す。
つつ……と、唇が、伸ばされてきた指先に辿られた。