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水蜜桃の願い
第2章  先生と生徒


「……透子」


細められた目。
瞳が揺れている。
もっとよく見たくて、顔を近づける。
指が私の唇から離れ、そのまま頬に添えられた両手。
優しくそこを撫でられるだけで、たまらなくなる。


ああ────……。


「……したい」


吐息と共にとうとう漏らした私の呟きに、驚いた様子もなく指先を滑らせ続ける先生。


もっと、もっと感じたい。
私の心と身体全部で。
そうして、このまだどこか揺れたままの不安定な気持ちをどうにかしてしまいたい。
それができるのは、きっと先生だけ。
私の中で生まれる感情はすべて先生が絡んでる。
だから────。


「ねえ……して」


きゅっ、とその両手を掴めば、反対に絡め取られた。
立ち上がった先生に、そのまま引き上げられる。
よろけた私の腰を支えるようにしてくれた先生と目が合った瞬間


「……っ」


その瞳に揺らめく色────。
私の鼓動は早まり、もう何も、言葉になんてできなくなった。




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