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最後の一色
第14章 19日目の雨は・・

ゆっくりと見上げる美紗緒に、何も言わずに右肩を突き出す。

ありがとう・・
消え入りそうな声を絞り出すと、男の肩にしっかりと捕まった。
グッと肩を掴む手の力に、涼輔は心拍数をあげた。

彼女の力のこもった手。

このままこの体に絡みついてくれたら・・
体の奥底に熱い塊があることははっきりとわかっていたが、涼輔はぐっとこらえた。


拭き終えた美紗緒が肩から手を離すと、
さっきまで熱くなっていた皮膚は一気に冷めていった。

「ありがとうございました。まさかこんなに降ってくるなんて」

キッチンのテーブルに荷物を置くと、恨めしそうな目つきで窓の外を伺った。
さっきより雨脚は強くなっている。
急に降られて、買物もできずにアトリエに来てしまった。

「お買いものは後で行ってきますね」

「すみません、面倒かけて。じゃあ先に絵を描こうかな。
 服、濡れちゃったでしょう。今のうちに乾かしておけば、ね」

白いコットンのブラウスは、ところどころ雨に濡れて肌が透けている。
胸の先端は下着のレースがかすかに見える。
気づいてしまった涼輔は、さりげなく視線を逸らした。

「はい、では支度してきます」

寝室のドアの閉まる音は、激しくなった雨音のせいで聞えなかった。



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