この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第14章 19日目の雨は・・
すこし濡れた髪は、いつものふんわりとした柔らかさを奪われていた。
ポーズをとる女の肌には鳥肌が立っていた。
雨に濡れたせいで冷えてしまったのか。
涼輔は冷房を切った。
「ごめん、気づかなくて。ちょっと寒かったかな。
しばらくエアコンは切っておくね」
相変わらずの気遣いに、美紗緒は頬をゆるめた。
湿気のせいもあり、部屋の中は生温かな空気でむせ返ってきたが、
美紗緒の腕の鳥肌はまだ収まらない。
涼輔は筆を起き、美紗緒の前に膝間づいた。
「どうしたの?」
体も顔も動かさずに口を開くことにはすっかり慣れた。
眼球だけを動かして視線を送ることにもすっかり慣れた美紗緒は、
自分の顔の位置と同じ高さになった涼輔に問いかける。
「肌がまだ冷えてるのかな、鳥肌が立ったままだ・・
美紗緒さん、手を・・だして」
ポーズはそのままに手だけを出すのも、けっこう難しい。
不自然な格好で手のひらを差し出すと、
その手を涼輔の手が、包んだ。