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最後の一色
第14章 19日目の雨は・・

美紗緒の中に驚きとざわめきが押し寄せる。

はじめて・・
手を握ってくれた。
しっかりと包みこんで。
そしてゆっくりとこの手をさする。

ほっそりとした彼の指が、私の肌と擦れて熱を帯びていく・・

「こうして手のひらを温めるだけでも違うでしょう?」

女の手のひらを見つめながら、優しく撫でる。
ゆっくりと、ゆっくりと、肌に熱が戻ってくる。

「ほんとうね・・だんだん体のほうまで温かくなってきたわ・・」

手のひらが貰った熱が、腕へ、肩へ、そして中心にまで浸透していくのがよくわかる。
それが擦られた手のひらのおかげだけでなく、涼輔への想いからだという事も、
彼が最低限しか触れずにいることが彼なりの優しさであり愛情であることも、
わかっている。

人妻である自分に、してはいけない事、というのが何であるか、
彼にはちゃんとわかっている。
でも・・そんなこと・・
模範的な優等生になんかならなくてもいいから・・
私の気持ちを察して・・
あなたは倫理を突き破って・・ぶつかってきてほしい・・・



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