この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第15章 20日目・・2人での休日

「よかった、涼輔さんに喜んでもらえて。
私ね、もう何年も、ううん何十年って言ったほうがいいかしら、
こういうピクニックみたいなことしてないの。
主人はあまりアウトドアには興味がないし・・」
お弁当を持ってどこかへ出かける。
そんな節約めいたことなどする必要がない。
出かけた先で人気のレストランや名物の食べ物を好きなだけ食べられる
経済的余裕がある。
お金の問題じゃない、と一度康文に言ってみたことがあるが、
そういうのは余裕のない人間の言う事だ、と笑われてしまった。
そんなゆとりのある毎日を過ごしていても、心の中の小さな穴は埋めることはできない。
なぜ空いた穴なのか、はっきりした理由なんてないのかもしれない。
だが、足りない何かがある、という事だけは
わかっている・・

