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最後の一色
第15章 20日目・・2人での休日

「どうぞ」
目の前にワインを注いだカップを差し出されて我に返った。
「ぼんやりしてもかまわないよ。今日はお休みなんだから、好きなようにして。
おしゃべりしまくってもいいし、ゴロッと昼寝をしてもいいし。
その前にまずは、お弁当、いただかなきゃね。今日も美味しそうだな」
さっそくサンドウィッチをつまむ。
濃厚なチーズを使ってあってワインが進む味。
涼輔の頬は膨らんだまま上下する。
「うん!美味しい!さ、美紗緒さんも食べて」
「じゃあ遠慮なくいただきます。・・あら美味しい!誰が作ったのかしら?」
顔を見合わせて美紗緒の冗談に大笑いする。
「食事しながらこんなに笑ったのはいつだったか思い出せないわ」
「僕もだ。些細な事だけど・・幸せ感じるね」
そうね・・美紗緒は黙って頷く。
この些細な幸せは、誰といるかで変わってくる。
それはきっと・・
声なきつぶやきはそこで止めた。
最後まで言ってしまったら、気持ちはとめどなく膨らんでしまう。
ワインを流し込んで言葉を消した。

