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最後の一色
第16章 21日目・・湧き上がる欲望

「あなたも私のことを・・そう見えます。
 私は・・あなたのすることに身を任せるつもりでいます、だから・・」

語尾が震えるほど興奮しているのが伝わってくる。
だがどんなに情熱的にぶつかってこられても、今はまだ、応えられない・・

「まだ・・もう少し待って・・
 今はまだ・・これ以上はできない・・でも
 美紗緒さん・・僕はあなたを・・・」

あなたを好きになった・・
声を出さずに唇だけ動かし、そう言った。


再び強い風がアトリエの中を吹き抜ける。

もういいだろう?さぁそろそろ描いてくれ、そう風が催促するように
キャンバスにかかる布を揺らした。


ゆっくりと距離をとった2人に、今度は緩やかな風が吹く。

「もうすぐお昼だね・・今日のお弁当はなにかな?」

涼輔はアトリエから出ていく。
一人残された美紗緒は、下腹部に手を当てた。
その先の泉の中が煮えたぎるように熱くなっていることに、
女としての喜びを感じていた。



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