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最後の一色
第17章 25日目は夜まで・・
「それなら・・うん、ここで食べて行ってよ。一人よりも二人のほうが楽しいし。
やぁ、うれしいなぁ、なんだか今日は筆がはかどりそうだぞ。
今夜のおかずはなんだろう」
やっと、その日が来た。
彼女の作った夕飯を一緒に食べられる。
はじめて夕飯の支度をしてもらったあの日、喉まで出かかったその誘い。
ここにきて彼女の口から出てくるとは。
気持ちが一度、大きく跳ね上がった後、息が一瞬止まった。
今夜、彼女の夫はいない。
一人なの、その言葉が激しくぶつかってきた。
深い意味を込めて言ったわけではないだろう。
だがそこにも意味がある、とさりげなく伝えてきたのなら・・
考え過ぎだ、と涼輔は下を向いて笑う。
それにもし、仮にそうだとしても、
僕は紳士的に彼女を駅まで送っていく。
涼輔は満面の笑みを美紗緒に向けた。