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最後の一色
第17章 25日目は夜まで・・
暗い家の中。
寂しさを感じるが泣きたいほどではない。
廊下の灯りをつけ、リビングの灯りをつけ、キッチンまで灯りをつけて、
家の中は一瞬にして明るくなる。
なのに涙があふれ出す。
広いリビングの真ん中で、
美紗緒はかすかに声を洩らして涙を流した。
・・涼輔さん・・涼輔さん・・
自分の体を抱くようにして想いだす。
涼輔の口づけを。
愛を一身に感じられる口づけを。
最後の日まで待って、とその肉体で愛を受け取ることはできなかった。
期待していたのに、できなかった。
そのぶん、重ねた唇に濃厚な愛を感じた。
・・口づけだけでこんなにも愛おしく想うなんて・・ひとつになったらきっと・・
味わったことのないくらいの喜びが・・
美紗緒の涙はうれし涙にかわった。