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最後の一色
第19章 最後の一色を足す日
ここへくれば、自分の事をいつでも感じてもらえる・・
今日を最後に会えなくなる、というわけではないにしても、
毎日のように顔を合わせることはなくなる。
もしも、自分の事を思い出し、感じたいとおもってくれるのならと、
簡単に足を運べる画廊を教えておきたかったのだ。
「それなら・・是非、連れていってください」
答えてすぐに美紗緒は、手にしたエプロンを再び折りたたみ、バッグの中へ戻した。
「じゃあ、支度しますね」
寝室へと着替えに入る男の背中を見送ると、少し陽射しの落ち着いた庭に出て、
すっかりお気に入りとなった庭をのんびりと眺めて涼輔を待った。
香りを放つ何種類ものハーブ、白い花がぼんぼりの様なムクゲ。
夏の彩を、また見ることができるだろうか・・
これが最後じゃなければいい、と願いながら
かするような風に目を閉じた。