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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
何度も何度もその文字を繰り返し読んだ。
入選、エロス、田原涼輔、入選、エロス、田原涼輔・・
今度は声に出してみる。
「入選、エロス、田原涼輔・・やったわ・・涼輔さん、やったわ!」
叫ぶように喜びを表した途端に、目からは大粒の涙があふれ落ちた。
あなたが賞をいただけた・・
そのお手伝いができて私は・・嬉しくて・・幸せで・・・
一人であることをいい事に、美紗緒は声をあげて泣いた。
こぼれ落ちた雫は新聞紙に模様を作った。
「おめでとう、涼輔さん・・」
声に出したらよけいに涙はあふれた。
「そうだ、涼輔さんに電話してみよう」
思いのほか部屋に響いた自分の声に驚きながら、携帯電話に駆け寄り電話をかける。
コール音とともに心臓の鼓動は徐々に大きく体の中で響く。
3回、4回・・
呼び続ける音に、まだ帰国していないのかと諦めかけた時、
唐突に音は止んだ。
沈黙の後、懐かしい声が耳に飛び込んできた。