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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き

「ええ、それより、おめでとうございます!
 今新聞を見て涼輔さんの作品が入選していて。
 私、嬉しくなって、あなたが帰っているかどうかもわからないのに
 思わず電話をしてみたの。そうしたら・・あなたの声が聞けて・・」

しばし声を詰まらせる美紗緒の耳に、愛する男の小さくて温かな笑い声が響く。

「そんな、おおげさだなぁ。なんだか照れちゃいますよ、そんなに感激してもらって」

次第に大きくなる涼輔の笑い声に、美紗緒もつられて笑い出す。
あの夏の日の、楽しかったやり取りがよみがえる。

「昨日帰ってきてすぐに、協会から連絡があってね、作品が入選したって。
 嬉しかったよ。それこそ今の美紗緒さんみたいに声が詰まってね。
 これもみんな美紗緒さんのおかげだよ。
 あなたがモデルになってくれたから賞をもらえるような素晴らしい作品が描けたんだ」

電話の向こうの涼輔、いや画家が、深々と頭を下げている様が目に浮かぶ。
そんな声音だった。

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