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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
息をのみながら開いてみる。
今回の受賞作品の写真が並び、もちろん涼輔の作品も並んでいる。
美紗緒はただ見つめるしかできずにいた。
「その右下の裸の女・・それはおまえか?」
さっきまでの荒々しさが嘘の様な、だが不気味さを含む静かな声で康文は聞いてきた。
そして美紗緒が答えるより先に再び口を開いた。
「宮坂不動産の宮坂社長、おまえも何度か会ったことがあるだろう。
彼は絵が好きで、画廊の物件もわりと多く扱っているくらいだ。
彼はこの授賞式に行ったそうで、そこでこの絵の実物を見た瞬間、おまえじゃないか、
と判ったそうだ・・もう一度聞く。
これはおまえなのか?」
「あなたが・・稼いでこいと言ったから・・
1ヶ月で返せるような仕事をしてこいって言うから・・
ホステスよりもお金になるし、無理やりお酒を飲むこともないし・・それになにより・・
とても紳士的な画家さんだったから・・だからお引き受けしたんです。
おかげでお金は返せたじゃないですか!」