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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
この言葉を投げかけるという事は、相当の覚悟をしなければならない。
言ってはならない事、なのだろうが、あえて美紗緒は投げかけた。
ここで康文が否定してくれたら、
表面的にでもいいから否定してくれたら、
この先も一緒に人生歩いていく気持ちに変わることはない。
心の奥底で思っていても、妻には残酷な本音を隠したままでいてくれるのが、
愛情だと思っているから。だが・・
康文は何も答えなかった。
ただ黙って、妻を見下ろした。
大きな衝撃が美紗緒を揺さぶる。
否定しないという事は・・
彼の中ではまだ・・
海辺の砂の城が、突然の大きな波に形を崩され、最後には
跡形もなく波にのまれていく様が、美紗緒の中でも起こった。
ピンと空気が張りつめた。
「そう・・あなたは今でも子供が欲しいと思っているのね・・
私じゃもうだめなのね・・わかりました、ここを出ていきます」