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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
そうは思っても、やっぱり独りになりたくない思いから
必死で彼にしがみついてきた。
でも・・それももう必要なくなった。
少しでも自分の事を想ってくれているなら、そんな些細な希望ももういらないと思えた。
なぜなら・・
田原涼輔という男を愛してしまったから。
涼輔への想いが、今の自分をしっかりと奮い立たせている。
いや、もしかしたら、涼輔のもとへ行きたくて、
そのために新たな道を切り開いたのではないか・・・
美紗緒の心は決まった。
明日、アトリエ・涼風を訪ねたら、もうここへは戻らない。
涼輔に受け入れてもらえなかったとしても、ここへはもう戻らない。
康文に出ていく、と言ったのだから。
腹をくくると、さっそく荷造りを始めた。
少し大きめのボストンバッグに4、5日分の着替えと下着、化粧品、それと
いざという時のために箪笥の奥にしまっておいた現金と2つ3つの宝石。
ダイヤの指輪とネックレス。それもポーチに詰め込んだ。
現金が底をついたらその宝石を売って当面の生活費にあてればいい。
その程度に成り下がった高価な宝石は、無造作に扱われた。