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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き


翌朝はいつもよりも起きる時間が遅くなってしまった。
なかなか寝付けなかった事もあり、目が覚めた時には7時をまわっていた。

隣りのベッドを見る。
きれいなままの掛布団。
もしかしたらリビングのソファで、それか客間のベッドで寝ているかもしれない。
美紗緒はまず客間をのぞき、それからリビングのソファを見に入る。

すると、テーブルの上に何かが置いてあるのに気がついた。
リビングのローテーブルの上。
近づいてみると、一枚の紙と銀行の通帳と判子。

その紙は・・離婚届だった。
おそるおそる手に取ってみる。
すでに康文は記入し終えていた。そして通帳。
それは自分名義の、あのモデル料で穴をうめた口座のものだった。

康文は・・本気だ。
もう私と夫婦を続けるつもりはない。
離婚届に記入してからこの通帳と判子を持って出ていけ、そう言う事か。

血の気が引いていくのを確かに感じた。
冷たい血が頭からスーッと下がっていく感覚がはっきりとわかった。
だが美紗緒は涙を流すことなく、離婚届にペンを向けた。
きれいな字で最後を飾ろう、と一文字一文字丁寧に書いた。
不思議なほど、冷静な気持ちで。

この届は康文に出してもらおう・・
美紗緒は離婚届をそのままテーブルに戻し、通帳と判子をバッグに入れた。

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