この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
そのまま喉の奥に言葉がつかえてしまった。
誰かにひっぱりだしてもらわなければ出てこなそうなほど、声は引っ込んだままだった。
「・・別れてきたんです、主人と・・
もう私の行くところは・・あなたの所しかないんです・・
ここにおいてください、お願いします」
「別れたって・・どういうこと?何があったんですか?まさか、僕との事が?」
あまりの驚きに声は押し出された。
別れたってどういうことだ・・?
「と、とにかくあがって。話を聞かせて」
美紗緒の手からバッグをとると、そのずっしりとした重みに、事の重大さが伝わってくる。
本当に彼女は・・家を出てきたのだということを、この手がしっかりと理解した。