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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き
「あの時私たち夫婦に入った亀裂は・・直るものではなかったのよ・・
あの時に・・気持ちは変わってしまったのよ・・」
2人で授かった命を失ったあの日から、私たちの気持ちはかみ合わなくなった・・
ようやくそれが解った気がする。
昨日まで、目をつむり見ないふりをしてきたわだかまりという石ころが、
当たり前のように坂道を転がりだしただけの事なのかもしれない。
「きっと・・運命に導かれたのよ・・
あなたと出会ったからこうなったんじゃない・・主人と終わるために
あなたに出会わせてくれた・・そんなふうに思えるの・・」
「そう言ってもらえると・・僕もそうだって思えるよ。
いや、僕も・・このために変えることにしたのかもしれない・・」
この作品を最後の出品作にしようと決めた。
画家一本でやっていくことに区切りをつけて講師の仕事を引き受けた。
これはすべて、愛する女と出会い、共に生きていくための準備だったのではないかと
思わずにはいられない。
こんな偶然、あるのだろうか・・?