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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き

「変えるって、なにを変えるの?」

聞き返す美紗緒のとなりに座り直し、その肩を抱き寄せた。

「僕もね、これまでの生活に区切りをつけるためにこの春から
 講師の仕事をすることにしたんだ。
 前に言ったよね、この作品を最後の出品作にするって。
 もしもこの先、守っていきたい愛する人に出会えたら、今度こそ結婚して
 その人を幸せにしようって。
 そのためにも講師の仕事をして、生活を少しでも安定させようと思ったんだ。
 でもまさか・・こんなにも早く実現するなんて・・思ってもみなかったよ。
 その相手が美紗緒さんになるなんて・・奇跡だ・・」

運命の導き、などと簡単に口にしてしまったあの時は、
半分夢を見るような気持ちであった。
そうなったらいい、と希望を託して言葉を吐き出した。
それがこんなにも早くに実現し、そのうえ相手は
望んでも手に入れられないと思っていた美紗緒なのだ。

夫と別れたばかりの女であっても迷うことなく涼輔は、
彼女を受け入れることを決めた。
その手を取って、今度は自分が彼女を守っていこうと。
一生をかけて、守っていこうと。

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